コミュ障店長がベテラン不正おばさんと戦った話①

初めに

20歳の私はとある小物の卸売業を営んでいる会社で正社員として7年間勤務する事になった。

私はここで約2年に渡り、ベテランのパートのおばちゃん達と戦いを繰り広げる事になる。

悪口ばかりの職場

入社式を終え、1番初めに配属になった店(A店)は店長が不在だった。

ブロック長が店長を兼任していた。彼はいくつかの店を管轄していたのでほとんど店におらず、パート3名、そして私という4人体制で店を回していた。

入社して驚いたのが、人の悪口や噂話ばかりの職場だった。パートさん達はブロック長からミスを注意されれば「〇〇さんがやりましたー」と別の人のせいにする。

素直に謝ればいいのに。

しかし、このブロック長は部下がミスをすれば叱りはしないものの、他の店に言いふらすという男だった。

しかも女癖まで悪かった。

とにかく人間関係が最悪なのに表面的には仲良しをアピールするので違和感を感じていた。

やっぱり嫌がらせに合う

要領の悪い私はやはりイジメの標的になった。

この店では年配のパートの女性2人が牛耳っていた。この2人の機嫌を取れば職場の空気が良くなる、という事を未熟な私はまだ分からなかったのだ。

彼女らにうまく取り入っていた若い女性スタッフがいたが、彼女も私への嫌がらせに加わった。

最悪の空気のまま半年が過ぎた。

若い女性スタッフが店を辞めた。

この頃には、私も流石にヤバいなと思うようになってきた。

仕事が覚えられないからである。

ブロック長も社員である私に「じゃあ頼んだからね!」と言うので勝手に責任感が芽生えてきた。

このままだと売り上げは落ちるので、社員として責任が問われる。

なので、おばちゃんらに擦り寄ることにした。

雑用を進んで手伝ったり、面倒事は全て引き受けた。

私は人に頼るのが苦手で今もそれは変わらないのだが、細かい事を教えてもらったりしてお礼を言い続けていたら、1ヶ月もしない内に仲良くなってしまった。

でも慣れない事をしているのでとても違和感があった。

普段はサンダルなのに急に革靴を履いたみたいな感じ。

なんか店長になちゃった‥

職場の雰囲気が良くなり居心地が良くなった所で私は店長として別の店(B店)に移動することになった。

入社してから半年後の出来事だった。

B店の場所はA店のすぐ隣のビルにある。

以前からそこのスタッフ達とは交流があった。

この店はもう長い事予算を達成し続けている優良店だったが、それには秘密があった。

以前の店長やパートさんが自腹を切って商品を買っていたのだ。

辞めた店長は置いておいて、この店のパートさん達はB店に長期間在籍し、ブロック長より上の立場の販売部の部長とも交流が深くて、店に対して異常な愛情とプライドがあった。

売り上げが足りなければ自分達が買う事をステータスの様に感じている様に私は感じた。

後で聞いたが、会社ではB店だけでなく古くからある多くの店で同じ事が行われていたようだ。

名ばかり店長

当時の私に店長ができる力量はないので、店長とは名前だけ。それは自分でもよくわかっていた。

私の主な業務はパートのおばちゃん達のサポートだが、このB店も、実に曲者揃いの店だった。

曲者ばかりのおばちゃん達

ここでB店のスタッフを紹介しよう。

・イルカさん【50代 既婚】

「イルカ」のヴォーカルに似てるのでイルカさん。

B店のリーダー格。前の店長に嫌がらせをして辞めさせた。要領が良くて可愛がられる性格。社内で顔が広くて社長にも一目置かれている。強い物に媚び、弱いものを蔑む性格。かなりのメンヘラで承認欲求が強い。

・清水さん 【40代 既婚】

「ピンクの電話」の清水よし子に似てるので清水さん。

頭がキレて仕事が1番できるが、癇癪持ち。人に期待して良い反応が無いとキレて物に当たる。威圧感が凄い。長身でスタイルが良い。

・香里奈さん 【30代 既婚】

香里奈の顔をキツくしてヤンキーにした感じ。

扶養で働いてる。酒癖が悪すぎる。性格がとにかくキツい。1番精神が安定してる。

入店早々、清水さんが癇癪を起こした。どうやら私の為を思ってやった事に対して私の反応がイマイチだったのでキレたらしい。

店内で物に当たって泣くので、これが大人の反応か?とドン引いてしまった。

そして、この日から私に清水さんがキレて、イルカさんが宥めてその場を収め、イルカさんがA店を初め、他店にことの顛末を言いふらす。という地獄の様な日々が始まった。

若い女とキモいおじさん達

B店が入っている商業施設は、若い女のスタッフはどうやら私1人だった様だ。

そこで沸いてくるのが気持ちの悪いおじさん達である。

ゴミ捨て場には業者のおじさん達がいた。

私がゴミを捨てて振り返ると至近距離でおじさん2人が何も言わずにジーッと見ていたり

フロア内を歩くたびに話しかけて来るおじさんがいたり

私の服装や体型をみんなでコソコソ話している様だった。

若い女というだけでこんなに気持ち悪い思いをするのかと思った。

特にキモい警備員

特に気持ち悪かったのは、警備員のおっさんだった。

私がレジの締め作業が終わるのを待って、店を出て入金室までずっと後をつけて話しかけて来る、食堂で隣に座ってくる。

気持ち悪いので、入金室までのルートを変えてその警備員を避ける事にした。

これが気に入らなかった様で、それから朝礼で名指しで叱られたり、余計にしつこくされる様になった。

でも私は我慢して無視をした。

弱さは一番の武器になる?

私は昔から要領が悪い。何をしても1番損な役回りになってしまう。

周りから「真面目」「硬い」とよく言われていた。お前はつまらない。と言われているんだと思った。

職場でも要領の悪さや頭の回転の悪さを指摘され、大勢の前で茶化されたりした。当時の私に人権なんて無かった。

統一教会と関わってしまったのもこの時である。

そして、私は開き直る事にした。腹は立ったけどプライドを捨て、周りから見られる自分を受け入れそのままでいる事にした。

本当に何もしなかった。

商品が入って来ればノロノロと検品作業をする。すると、業を煮やしたおばちゃんが「私がやるわよ!」と作業を勝手にやってくれる。

飲み会など大勢の前や後輩の前で馬鹿にされてもニコニコしながら「はい!出来ません、ごめんなさい、教えてくださーい」とニコニコしていた。

おばちゃん達が仕方ねえな。という具合になるし勝手に仕事が進み1日が終わる。

でも私はずっと仕事のやり方を見ていた。私は社員だし、未来があるから。

私は清水さんとイルカさんを徹底的に利用する事にしたが、香里奈さんはそんな私を冷めた目で見ていたが、私は気がつかないふりをしていた。

香里奈さんは何も言ってこない事が分かっていた。

彼女はイルカさんと清水さんと付き合いが長い様だったが、とても上手に立ち回っていた。

余計な事は一切言わないし、商品も購入している様子がなかった。酒癖以外、大人だった。

イルカさんと清水さん

しかし、今から紹介する2人は誰よりも会社や社会からの承認を求めていたように思う。

イルカさんという人物

イルカさんは勤務年数が10年と長い大ベテランだった。

小柄でいつもニコニコしていて若い時はさぞ可愛らしかっただろう。

しかし、なんとなく黒い物を感じる人だった。

イルカさんは以前の店長が自分に相談しないで商品を仕入れる理由で店長に嫌がらせをして退職に追い込んだ。

私はイルカさんが陰で私の悪口を言っているのを知っていた。そのくせ、

「あなたが頼れるのはわたしだけでしょ?」 

「板挟みだけど健気にどちらとも良い関係を築ける私」感を物凄く出すので心底気持ちが悪かった。

清水さんという人物

清水さんもイルカさんに続き、勤務年数の長い人物だった。

この人は人を威圧させる雰囲気を持っている。170㎝と長身で筋肉質なのに加え、表情も怖かった。

しかし、話をしてみると少々行き過ぎているが、思いやりがあるし根は悪い人では無いのでは?と私は思った。

面倒は全て他人任せなイルカさんに対し、清水さんは大変な仕事も進んで行い、処理能力も抜群に高かった。

仕事が誰よりも出来る人だと思った。

そしてある日、私は清水さんからイルカさんについて衝撃的な事実を知らされる。

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